整形外科このページを印刷する - 整形外科

特徴

股関節,膝関節,脊椎を中心とした広範囲の変性疾患・外傷に対応し,急性/慢性を問わず診療しています.
年間手術件数は937件(2022年度)に達し,特に股関節,膝関節などの人工関節置換術は年間200件以上の手術を行っており,ナビゲーション手術などの最新の医療を取り入れています.また脊椎固定術(インストゥルメンテーション),顕微鏡下手術を含む年間130件を超える各種脊椎手術を行なっております.
弘前市内のみに限定せず,広く中弘南黒地区から救急車の受入要請に協力し,多くの緊急手術・臨時手術も行なっています.
理学療法,作業療法においてはスタッフ,施設も充実しており濃密な急性期リハビリテーションを実現しています.
弘前大学病院,近隣整形外科関連病・医院とも密接な連携をとりシームレスな患者診療を実現し地域医療に貢献しています.
関連検査機器として,従来のレントゲン検査,CT, MRI, 骨シンチグラフィー,超音波検査,電気生理学的検査に加え,最新の骨密度測定装置(DXA)を導入しました.
日本整形外科学会,日本股関節学会,日本人工関節学会の研修病院として認可を受けております.また脊椎脊髄外科指導医も在籍しており,専門的な医療提供とともに若手整形外科医育成にもあたっています.
 

スタッフ紹介

中村 吉秀 統括診療部長 1988年 弘前大学卒
医学博士
弘前大学医学部附属病院臨床教授
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会リウマチ医
日本整形外科学会認定運動器・リハビリテーション医
日本リウマチ学会専門医
日本人工関節学会認定医・評議員
日本股関節学会評議員
東日本整形災害外科学会評議員
日本リハビリテーション医学会認定臨床医
竹内  和成 整形外科医長 1993年 弘前大学卒
医学博士
日本整形外科学会専門医
日本整形外科学会脊椎脊髄病医
日本整形外科学会認定運動器・リハビリテーション医
日本脊椎脊髄病学会脊椎脊髄外科専門医・指導医
亀井 敬太 整形外科医師 2014年 弘前大学卒
医学博士
日本整形外科学会専門医
荒木 亮 整形外科医師 2015年 弘前大学卒
医学博士
日本整形外科学会専門医
長沖 隼英 整形外科医師 2015年 弘前大学卒
医学博士
日本整形外科学会専門医
鎌田 陽光 整形外科医師 2020年 弘前大学卒
倉 令奈 整形外科医師 2021年 弘前大学卒
 

代表的な治療法

以下,我々の行なっている代表的な治療法などについてご紹介します.
 
股関節骨切り術
進行した股関節疾患に対しては人工関節置換術を行いますが,当科では若年者の疾患に対しては可能な限り,関節を温存する方法を検討します.股関節形成不全に対しては寛骨臼移動術(回転骨切り術),大腿骨頭壊死に対しては大腿骨骨切り術を行っています.これら関節温存手術は繊細かつ比較的長期にわたる術後リハビリを必要とし,また技術的にも専門性が高いものです.
 
寛骨臼移動術(股関節形成不全)


大腿骨骨切り術(大腿骨頭壊死症)


人工股関節置換術
人工股関節は様々な股関節疾患,外傷に対して行われます.代表的な対象疾患は変形性股関節症と大腿骨頭壊死症です.手術前にはコンピューター画像を使用して綿密な計画を立てて手術に臨みます.当院では理想的な無菌環境を実現するため,フルフェイスの特別な手術着を着用します.近年では症例に応じて手術中ナビゲーションを使用することもあります.手術前からリハビリテーション介入を開始,術後は翌日あるいは翌々日には歩行訓練を行い,スムースな日常生活復帰を目指します.人工関節は体に機械(インプラント)を埋め込む手術です.インプラントの寿命は30年以上と言われていますが,長期にわたる定期的な診察が必要です.当院では責任を持って患者さんのフォローアップを継続します.

関連サイト:https://www.kansetsu-itai.com/doctor/doc110.php

人工膝関節置換術
人工膝関節は変形性膝関節症, 膝関節特発性骨壊死, 関節リウマチなどに対して行われます.鎮痛剤や関節内注射, 筋力訓練といった保存的治療の効果が少なく, 日常生活動作に支障がでている方に手術を検討します. 手術前には全下肢のレントゲン写真やCT, MRIで変形の程度や膝関節靭帯の状態などを評価し,インプラントの選択など術前計画を行います. 手術に伴う重大な合併症として, 感染や深部静脈血栓症, 肺血栓塞栓症などが報告されています. これらに対し術前や術後早期から予防を行い, 血液検査や下肢静脈超音波を定期的に実施して合併症発生時には迅速に対応します. リハビリテーションは手術前から介入し,術翌日から血栓症予防のための足関節自動運動, 膝関節可動域訓練, 歩行訓練をすすめていきます. 退院後は定期的に外来診察し, 歩行能力や膝関節可動域, 合併症のチェックを行います.


頚椎椎弓形成術
手足のしびれや運動障害(例:箸が使いづらい,歩きにくいなど)を呈する疾患の一つに頚髄症があります.加齢や靭帯骨化によって頚椎の脊柱管が狭くなり頚髄が圧迫されることによって発症し,日常生活動作が障害されます.いくつかの手術方法がありますが,当科では主に首の後ろの骨(椎弓)を広げ,人工骨スペーサーによって拡大を維持し,頚髄の圧迫を解除する頚椎椎弓形成術を行っています.以前は四肢の神経症状が改善したのにも関わらず,術後肩こりで患者様が困っていましたが,現在では筋肉温存方法によって手術後の肩こりが著しく減少し,安心して患者様に提供出来るようになりました.


頚椎固定を併用した椎弓形成術
頚髄症の中には頚椎椎弓形成術だけでは対応しきれない病態があります.この場合は頚椎椎弓形成術にインプラントを用いた後方固定術を併用することにより頚髄の安静が保たれ,症状を改善する手術を行なっています.この治療でも筋肉温存により首の動きを可能な限り残すことが可能です.



頚椎椎間孔拡大術
頚椎椎間板ヘルニアや骨棘(こつきょく,骨の周囲に余剰にできたトゲ)によって,脊髄の圧迫は無いものの脊髄から左右に出る神経根が圧迫され,腕や手指の痛み,しびれや脱力を生じる頚椎神経根症という疾患があります.当科ではおもに首の後ろの骨(椎弓)を専用の器具で部分的に掘削し神経根の圧迫を解除する椎間孔拡大術を行っています.手術専用の顕微鏡を使用することにより安全・低侵襲な治療を患者様に提供できます.

右椎間孔拡大により圧迫の解除された神経根(矢印)

脊椎外傷に対する手術
頚椎から骨盤までの全脊椎における外傷に対し,低侵襲で手術治療を行っています.多発外傷に伴う胸腰椎骨折おいては,ダメージコントロール整形外科(Damage Control Orthopedics, DCO)の概念で経皮的椎弓根スクリュー(PPS)を用いた最小侵襲脊椎安定術 (Minimally Invasive spine Stabilization, MISt)を積極的に取り入れ,早期離床を目指します.また近年の超高齢化社会で増加しているびまん性特発性骨増殖症を代表とする強直脊椎に伴う脊椎骨折に対しても,積極的に低侵襲での脊椎制動・固定術を施行しています.


胸椎骨折に対するPPSを用いた低侵襲脊椎制動術


強直脊椎に伴う脊椎骨折に対する、低侵襲長範囲固定術

大腿骨近位部骨折
高齢者で最も頻度の高い大腿骨近位部骨折は,早期に手術治療を行うことで死亡率,合併症発生率が減少し,早期機能回復に有利であるとされています.当院では救急外来,手術室,病棟と連携し可能な限り受傷から48時間以内の手術を行っています.また術前より地域連携パスを通じて情報共有を行い,スムーズな回復期リハビリテーションへの移行,二次性骨折発生予防のための骨粗鬆症治療介入に取り組んでいます.


その他の四肢外傷
脊椎外傷を含む多くの外傷性疾患にも幅広く対応しており,年間500件以上の外傷手術を行っています.転位(ずれ)の大きい関節内骨折に対しては初期治療として創外固定を行い,腫脹や皮膚状態の改善を待って2期的再建を計画します.


リハビリテーション
当院ではリハビリテーションスタッフ,施設・機器も充実しております.
医師,理学療法士,作業療法士,看護師による定期的なカンファレンスを行い,患者さんの状態を総点検し,最適な医療を提供しています.


関連リンク
弘前大学整形外科学講座ホームページ

関節が痛い.com