臨床倫理指針このページを印刷する - 臨床倫理指針

臨床倫理指針

  • 患者さんの生命の尊厳と人格を尊重するとともに、患者さんの最善の利益を追求した、安全で良質な医療を提供するように努めます。
  • 患者さんの立場・視点に立った対応を常に心掛け、良好な信頼関係に基づいた医療を患者さんと協同して行います。
  • 個人的な背景や病気の性質にかかわらず、いかなる人にも、社会的資源を有効に活用し、公正かつ公平な医療を提供します。
  • 患者さんのプライバシーを尊重し、職務上の守秘義務の遵守と個人情報の保護を徹底します。
  • 診療については、国や関連学会等が認めた関係法規(法令)や診療指針・ガイドライン等を遵守し、根拠に基づいた医療を実践すると共に、診療の質やプロセス、医療行為の妥当性を検証します。
  • 医療事故、医療関連感染の防止に努め、提供する医療はリスクを最小にし、最大の益がもたらされるように努めます。
  • 医療人としての責務を自覚し、自己研鑽に励み、医療の知識と技術の向上に努め、医療の進歩に貢献します。
  • 各職員が互いに専門性を尊重し、良い協力関係を築くことで、最善の医療の実践に向け、チーム医療を推進します。
  • 地域の中核病院としての役割・機能を果たし、医療・介護・保健・福祉の向上に寄与するため、地域の医療・福祉関係諸機関と協力し、地域連携を推進していきます。
  • 医療情報や診療録を適正に管理し、規則に従い、開示します。
 

臨床倫理問題への対応方針

最善の医療を提供するために、本臨床倫理指針を遵守し弘前総合医療センター職員としての自覚・責任感をもって職務に専念することで、地域医療と社会に貢献します。
 
1.個人情報保護について

患者さんの要配慮個人情報・個人識別符号等を含めた個人情報・データの管理・取り扱いについては、「個人情報保護法」・「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス(厚生労働省)」等の法令・指針を遵守します。

2.インフォームド・コンセント(説明と同意)について

患者さんが治療の方針や方法を自ら選択・決定・拒否できるように、検査や治療内容、合併症・副作用等のリスク、予後の見通し等、その他必要事項について、当医療センター「インフォームド・コンセント取得マニュアル」に従い、患者さんに十分な情報を提供し、同意を得た上で医療を提供します。患者さんは、医療者から十分な説明と情報提供を受けた上で、治療・検査・その他の医療行為について自らの意思と価値観に基づいて選択・決定することや、拒否する権利があります。なお、拒否をしたとしても一切の不利益を被ることはありません。

3.セカンドオピニオンについて

患者さんには、納得した治療を受けるために、主治医以外の医師からの意見(セカンドオピニオン)を求める権利があり、他の医療機関の診察をご希望される場合には、必要な資料を提供します。その場合にも、一切の不利益を被ることはありません。

4.輸血を拒否される患者さんへの対応について

当医療センターでは「相対的無輸血」が基本方針となります。

5.母体保護・人工妊娠中絶について

「母体保護法」等の法令や日本産婦人科学会による指針を遵守します。

6.終末期医療について

終末期の医療・ケアについては、「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン(厚生労働省)」等に従い、患者さん・ご家族と相談の上、患者さんの意思に基づいた医療を行います。また、可能な限り、疼痛やその他の不快な症状を緩和し、精神的・社会的援助も含めた総合的な医療・ケアを行います。

心肺蘇生法(CPR)の有効性について、終末期・老衰・救命不能または意識回復が見込めない場合、患者さんやご家族(代理人)に対して十分な説明をしたうえで、心肺蘇生法を行わないことに同意された場合は、その意思を尊重します。但し、いかなる場合も積極的安楽死や自殺幇助は認めません。
DNAR(蘇生不要)、治療の中止・差し控え等、生命の尊厳に関する問題や医療行為の妥当性に関する問題については、多職種で検討し、患者さんにとって最善だと思われる治療方針をチームで決定します。


7.判断・意思決定能力が低下・欠如している(不能な)患者さんへの対応について

意識不明や判断能力のない患者さんにおいては、ご家族等適切な代理人の同意を得て、治療に必要な判断と決定を行います。但し、緊急事態で生命に問題があり、且つご家族等に連絡がつかない場合は、医療チームの判断により緊急治療を行います。
適切な代理人がいない場合は、当医療センター「単身者(親族なし)の治療方針決定手順」に従い、患者さんにとって最善の利益がもたらされるよう、多職種で検討・判断します。


8.判断能力がある患者さんの治療拒否について

治療拒否の理由を十分把握し、治療による利益と不利益を十分に説明した上で、患者さんの望まない治療を拒否できる権利を認めます。
必要に応じて倫理委員会等にて審議し、その決定に従います。但し、感染症等で治療拒否により第三者に危害が及ぶ可能性がある場合には、治療の拒否は制限される場合があります。


9.身体行動制限(身体拘束)について

当医療センターが定める「身体行動制限に関する基準」および「身体拘束予防ガイドライン(日本看護倫理学会)」、「身体拘束ゼロへの手引き 高齢者ケアにかかわるすべての人に(厚生労働省)」等に従います。
治療上やむを得ない場合の身体行動制限(身体拘束)は、医師の指示のもと、多職種で「身体拘束の三原則(切迫性・非代替性・一時性)」に基づいて適応・必要性を検討し、必要最軽・最短期間で慎重に行います。


10.虐待について

児童、高齢者等への虐待が疑われた場合には、当医療センターが定める「虐待対応マニュアル」に従います。

11.臨床研究・治験・高難度新規医療技術導入・保険適用外治療について

ヘルシンキ宣言および「臨床研究に関する倫理指針(厚生労働省)」等の医療・医学研究の法令・各指針を遵守し、研究協力者(被験者)の尊厳と人権が守られているか、また、研究の科学的妥当性について、臨床研究・高難度新規医療技術導入・保険適用外治療は倫理委員会、治験は治験審査委員会において審議し、その決定に従います。

12.その他倫理的問題について

医療行為の倫理的妥当性が問題になった場合は、当医療センターが定める「臨床倫理委員会規程」に従い、倫理委員会等で審議し、その決定に従います。
2024年3月作成
病院長